訪問看護等在宅ケアの普及を図り、人々が自分らしく生ききる社会の実現に貢献します。

理事長ご挨拶

理事長ご挨拶

公益財団法人日本訪問看護財団
理事長 田村やよひ

日頃より日本訪問看護財団の諸活動に多大なご支援をいただいている諸団体、個人の皆様に厚くお礼を申し上げます。また、当財団の数多くの研修や出版物などをご活用くださっている看護職の皆様、当財団による訪問看護・在宅ケアをご活用くださっている皆様にも心から感謝を申し上げます。

今年のサミットは、「自由で豊かな共生社会の構築~訪問看護の力をどう発揮するか~」というテーマで11月11日に開催いたしました。障害のある人も健康な人も皆が持てる力を出し合い、支えあう社会づくりに訪問看護が大いに力になればと願っての企画でした。当日は、ユニバーサルデザインの開発やフレイル予防のご講演に加え、「誰もが安心して認知症になれる社会を目指して」と題し、映画「オレンジ・ランプ」の主役・当事者の丹野氏と製作者の山国氏の対談があり、そのいずれもが、私にとっては新たな知識や気づきを得ることのできた印象深い時間でした。また、訪問看護師の鼎談では、スピーカーがそれぞれの看護に対する信念・考えのもと、地域の中でのつながりを発展させ、人々の生活と健康を支えている姿に看護の限りない可能性を確信いたしました。来年は当財団創立30周年ともなりますので、より皆様とお近くで感動を分かち合うことができるよう、対面での企画を考えております。ご期待くださいませ。

さて、5月8日から新型コロナウイルス感染症が感染症法上の2類から5類に変更され、早くも半年がたちました。最近はインフルエンザが例年よりも早くに流行しているとのことですが、感染症患者の訪問看護では、これまでと変わらず厳重な感染予防策がとられていると思われ、訪問看護師の皆様の負担の大きさが思いやられます。過去3年のコロナ禍では、看護師等の過酷な労働の状況を国民が広く知るところとなりました。そして、看護活動に対する経済的評価が低すぎるとの声が高まり、何十年も変わらなかった医療職俸給表(三)の枠組みの改善が実現しました。しかし、すべての訪問看護・在宅ケアに従事する人々が処遇改善を実感するには、何よりも診療報酬、介護報酬の改定が伴わなければなりません。そのため6月中旬、日本看護協会長、全国訪問看護事業協会長とともに厚生労働省保険局長並びに老健局長を訪問し、介護領域を含むすべての看護職員の処遇改善の要望書を手渡してまいりました。もちろん要望書には、訪問看護活動を推進し、より利用者が制度を活用しやすくするための数多くの政策提言が含まれております。来年4月に向けた診療報酬、介護報酬改定の議論の推移を見守っていきたいと思います。

ご存じのように第8次医療計画では在宅医療の推進がこれまで以上に幅広く取り上げられています。2040年をピークとする多死社会の急速な進行の中、国民の多くは住み慣れた自宅で穏やかに最期を迎えたいと考えていることを受けて、訪問看護師による在宅看取りの推進が挙げられています。今年3月末に発出された厚労省地域医療計画課長通知では「医療と介護の両方を視野に入れ、利用者の状態の変化に対応し、最期を支えられる訪問看護の体制整備」と記されており、それを進めるため24時間の訪問看護や機能強化型訪問看護ステーションの拡大も課題とされています。当財団はこうした政策の動きを先取りする形で、2020年から日本財団の助成による「訪問看護師向け在宅看取り教育プログラム」の開発と研修モデル事業を実施してきました。その事業評価を基に、今年度から「訪問看護師向け在宅看取り教育プログラム(初任者)」の研修が始まりました。多くの訪問看護師がこの研修を受講され、在宅看取りの推進役を担ってほしいと願っております。

日本訪問看護財団は、これからの超高齢・多死社会の中にあって、看護を必要とする人々を支える訪問看護の発展、推進に全力で取り組みます。どうか、皆様のご支援のほどを宜しくお願い申し上げます。

2023(令和5)年11月16日

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