高知から羽田にむかう飛行機にやっと飛び乗って、ふと窓をみると、満月の月明かりが静かに一面の雲を照らしていました。

ずっと月は私のほうに微笑みかけているようでした。

その月をみていたら、永遠のお別れをした小さな小さなかわいらしい二人の女の子の笑顔を思い出しました。

生まれて数か月、訪問した時は本当に小さくて、座布団の上にくるまれてにこにこ笑ってくれていました。

これから、お口のリハビリもして、いずれ、ミルクも飲めたらいいね、と当時あすか山にいたSTと一緒に同行訪問して、お母さんと頑張ろうと話していた、もう一人は、いつもニコニコして、お風呂でパシャパシャしたり、離乳食をぱくぱく食べてくれ、とっても愛おしくて、何事もなく大きくなってほしいと願っていました。

悲しい時がきて、もう二度と笑顔が見れないかと思うと、本当に悲しかった。

しばらくしてスタッフとお母さん、お父さんに会いに行きました。

写真を見ながら思い出を話し、お母さんのつらさを思うと、つらかった。

不思議な月灯りの雲の上は、とてもきれいで、清らかな、安らいだ気持ちになりました。

月は優しい。この地球に命が生まれたのも、月がゆっくり地球を暖めながら長い時間をかけて命をはぐくんでくれたから。

二人の天使の笑い声が聞こえるようでした。

心が大きな深呼吸をしたとたん

飛行機が降下をはじめ、雲の中に。体を右に左に揺さぶられ、突然雲のしたは、まぶしい東京の町の灯り。

月の灯りとちがい、その街のあかりはいばりんぼうな感じでした。

もう一度月をみあげて、また、会いたいね、と二人の天使に微笑み返しました。