学生のころ訪問看護に興味はあったけれど、病院に就職したら、きっかけをなくした方、また、訪問看護は始めたけれど、領域が広すぎて、いつも不安、というかた、あるいは、訪問看護認定看護師、専門看護師になりたいけれど、具体的にどうしたらいいのかわからない人を対象に、170人以上のさまざまな利用者に訪問看護しているあすか山ならではの、プログラムを作りました。

財団の職員は財団主催の研修はすべて無料です。eランニングは全職員(認定・専門看護師以外)が受けます。

プリセプターは認定看護師、主任等が行い、管理者の年2回の面接も研修成果をポートフォリオを利用しながら互いに勉強しあいます。

認定看護師を希望者は実習を含む2年間のプログラムを経験後、財団の認定看護師教育課程に入学します。(職員は給料の6割支給)在宅看護専門看護師希望で、財団職員に継続して勤務する意志があれば、プログラムを2年うけ、ステーションから自転車で15分の首都大学東京の大学院を受験、合格すれば、職場のフォローを受けながら、通うことができます。

9月にはひとり、訪問看護認定教育に給料を受けながら半年勉強する予定です。

また、9月から2人新しく職員が増えます。さっそく、このプログラムで幅広く、訪問看護を学んでいけるように、全職員でフォローしながら、互いが学びあいたいと思います。

以下、プログラムを紹介します。

初めてのことなので、ぜひ、みなさんのご意見をいただけたらと思います。

Ⅰ.訪問看護基礎教育プログラム

 

目的:訪問看護の基礎を身につける

 目標:自分の看護経験を在宅看護に生かせるように整理ができる

    在宅ケアチームの一員としての役割を理解する。

期間:1年間

方法:①オリエンテーションプログラムを十分理解する。

   ②プログラム項目について、経験した事例について、調べたこと、課題を1枚にまとめる。

   ③プリセプターと面接を定期的に行い、ともにこの目標を達成に1年後に評価できる。

   ④所長との面接にて目標の評価、達成度の確認をする。

   ⑤自己課題、所属領域を明確にする。

 

プログラム内容

  1・訪問看護概論

1)社会的動向と訪問看護ニーズ

2)訪問看護の歴史

3)定義と理念

4)諸制度

5)医療保険と介護保険と障害自立支援法と訪問看護

2・訪問看護対象論

1)対象となる個人

2)対象となる家族

3)家族支援

4)地域  北区の概要とアセスメントの展開

3・訪問看護展開論

1)訪問看護過程

2)実際(初回訪問、退院前カンファレンス、退院日訪問、看取り、グリーフケア、入院時)

3)チームケア

4)カンファレンス

4・訪問看護システム論

1)地域ケアシステム

2)ケアマネジメント(介護保険の狭義的なケアマネジメントではない広義の意味)

3)病院と地域の連携

4)早期退院連携

5・訪問看護技術論

1)対象別技術論

     在宅ターミナルにおける緩和ケア、がん患者ケア、難病患者ケア、認知症患者ケア、精神疾患患者ケア、脳血管疾患後遺症ケア、小児患者ケア、急変時ケア、感染症(エイズ)患者のケア、

   2)医療処置別技術論

     在宅自己注射(インスリン療法)、在宅自己腹膜灌流法、在宅酸素療法、在宅中心静脈栄養法、在宅自己導尿、在宅人工呼吸療法、在宅癌化学療法、在宅経管栄養法、気管カニューレ管理法、膀胱留置カテーテル管理法、人工肛門・人工膀胱管理法、腎瘻・尿管皮膚瘻管理法、癌末期疼痛管理法、褥瘡管理法、

3)訪問看護展開のための知識・技術

  フィジカルアセスメント、生活援助(動く、食べる、息をする、トイレに行く、話す・聞く、眠る、お風呂に入る)、服薬管理、リハビリテーション、コミュニケ-ション技術、グリーフケア、リラクゼーションケア

  6・訪問看護管理論

(「e-ランニング」「在宅療養支援のための医療処置管理看護プロトコール」「看護形態機能学」)

Ⅱ.在宅看護実践家養成プログラム(認定看護師、専門看護師)

 

 目的:実践家教育に必要な基礎知識と幅の広い経験を行う

  目標:高度実践家の育成

     認定教育過程、専門看護師教育過程への入学

  期間:オリエンテーションプログラムを終了後2年間

  方法:①認定看護師、専門看護師の希望を確認

     ②定期的な発表会にてポートフォリオ使用のプレゼンテーション

     ③認定看護師・専門看護師からの評価を受ける

     ④自己課題を明らかにする

     ⑤各専門の教育過程にて入学

 

プログラム内容

1・在宅看護概論

1)現代社会の変化と今後の在宅ケア

   2)地域の社会資源と在宅看護

   3)家族看護理論と看護過程

   4)地域連携

     行政、施設、各サービス、医療職(医師、歯科医師、療法師)、病院

  2・対象の理解

在宅療養の疾患、病状、生活困難、コミュニケーション困難の理解

がん患者・・初期相談、化学療法中の身体と精神的ケア、ターミナルの心理的ケアと家族ケア非がんの症状コントロールと予後予測

認知症の独居、進行性難病の呼吸器装着の自己決定、小児の在宅療養、精神疾患の急性期時の入院への移行、自己効力感がアップできる緩和ケア、退院前後の在宅療養環境マネジメント

  3・面接技術

1)連携施設・多職種への訪問看護の理解促進

2)初回訪問

3)コミュニケーション困難患者

  難聴、全盲等五感障害者(聞く、話す、見える、感じる、嗅ぐ)へのケア

4)家族看護

  4・基本的生活行動への援助

1)食事

 食欲のないがん患者への栄養状態改善のケア、嚥下障害のある高次機能障害患者への食事

 精神疾患患者への食事指導、ターミナル患者への食の楽しみから生きる喜びへ

2)排泄

 がん患者のトイレの自立への援助、高次機能障害の排泄障害、便秘へ薬以外のケア

 オムツの選択

3)清潔

 看取り前の入浴(湯っくん)、ターミナル期の口腔ケア、DM患者のフットケア

4)寝具、寝衣、衣服、更衣

 ベッドの選定、自立神経失調症状により体温調節がしずらい患者の調整

 ALSで呼吸器装着時のシーツ、寝衣、交換

5)睡眠

 睡眠障害のケア、うつ症状による昼夜逆転のケア、高齢者の夜間の頻回の排尿のケア

 介護者への支援

6)移動

 高次機能障害者の移動に必要な福祉用具の選定、住宅改造、

 浮腫があり長期入院していた患者の歩行援助

7)リハビリテーション

 意欲を引き出しリハビリを行う自己決定援助、療法師との連携、

 

8)服薬

 精神疾患患者のアドヒアランス、エイズ患者のアドヒアランス、

 認知症患者の内服援助体制の構築、

 医師の指示による内服(自己注射)の継続が困難である場合の医師との内服変更の相談

 がん患者のオピオイドローテーションとその他の症状緩和治療の提案

  5.相談

   新人看護師、1年以上の経験者、リーダー、管理者への助言・相談、

   訪問看護利用希望の住民への相談

   地域他職種へのアドバイス

   

  6・地域ネットワークづくり

   医師会、ケアマネの会、歯科医師会、薬剤師会、施設、介護職、行政との連携

   訪問看護ステーション連絡会のなかでのリーダーシップ

   病院との連携システム構築

   医療機器メーカー等との連携

   地域住民への啓蒙、ボランティア、学生

   小学校、包括支援センター、

  7・ケアマネジメント

   障害者自立支援対象のマネジメント、介護保険と自立支援法との適応、

   生活困窮者のケアマネジメント、

   部屋などの清潔保持等環境困難者へのマネジメント

   共依存者の家族へのケアマネジメント

  8・実習

   在宅療養支援診療所

   特養施設

   病院連携室

   包括支援センター