数十年ぶりに、病院に2週間の研修で通っています。

1週間が経過したところですが、私たち訪問看護の仕事の大きな特徴を学ぶことができました。

訪問看護師は、いつも、空を眺めています。朝起きると、今日は曇り、雨、はたまた、台風などが大変重要です。「午後から、台風上陸」という情報は、仕事に大きく影響します。

その日の、体で感じたすべての環境の情報は、看護を行う上で重要なのです。

また、訪問看護師は、町の中の生活の中を移動していきます。春ころは小学生の1年生の黄色いランドセルが増え、微笑みながらその横を通り、花屋でお花を買っている杖の高齢者の方、車いすで頑張って移動している若い人、お彼岸には店頭におはぎが並び、季節を感じます。クリスマス間近になると、こちらも楽しくなります。

17年も訪問看護しかしていないと、これが当たり前であったわけです。

病院勤務では、空は、朝の通勤時に電車の窓越しにみたが最後、帰宅時には真っ暗です。

帰りに「今日は、割と涼しい日だったんだ」と感じ、今日、急な雨が降ったのか、なんてわからないのです。

病院は、天井があり、下を向いて、無表情の患者さんが待合室で、やや緊張した表情でお待ちになる風景のなか、外来、病棟を移動していきます。

病院の看護師さんたちは、とても忙しそうにみえます。小走りに走って一生懸命の様子です。

訪問看護を始めたばかりの看護師は、雨や雪などの訪問がつらくて、葛藤があります。私も全くないわけではありません。が、

農業という仕事が、自然相手で大変ですが、自然とともに生きることができる素晴らしさがあるように、

訪問看護は、生活の中で、自然を含めて人が生きている空間の中で仕事ができる、また、看護本来が持っている、生活援助を含めて命により添った仕事ができる素晴らしさがあるのです。

最近、農業を目指す若者が増えてきたそうです。

人間らしい時間と空間の中で仕事ができる訪問看護は、大変幸せであることに気付きました。

人間らしい時間の流れの中で、人の生活のぬくもりを感じながら、看護師として、楽しく働ける、訪問看護ステーションは、いずれ、人が集まってくるでしょう。

そんなことを、実感じた実習1週間でした。