退院して在宅療養開始となってから訪問看護させていただいている遷延性意識障害のAさんは、病院の主治医が脳のCT上回復の見込みがないといわれて、脳波も反応していないといわれていました。

しかし、家族はあきらめず、回復を願い、私たちも在宅ケアチームの中でリハビリテーション、生活支援を行っていました。その結果、確実によくなっています。

今回、障害者スポーツセンターにご本人の友人と奥様とヘルパーさんと私でAさんの機能を引き出し、元気だったころ水泳もしていたことが何か刺激にならないかと期待しつつ、看護の醍醐味である生命力の引き出しをトライしました。

トレーナーのかたと事前に打ち合わせをして、気管切開部分をテープで保護し、プールに入水。

初めは緊張しておられましたが、次第に緩み、25メートル2往復の間に、すっかり穏やかな表情になっておられました。

重傷者のかたへのプール開放は定期で開催されています。

偶然、あすか山訪問看護ステーションで訪問している小児Bちゃんもプールでリハビリ。おかあさんにあとであいさつしました。

このプールには重傷者のかたのプールリハビリを支援したいというボランティアのかたの講習も同時に開催されており、そのプールにいる方がたはみな、回復をねがい、生命力を引き出したいとおもう人ばかりでした。

他の利用者のかたで学校の行きかえりを支援しているヘルパーさんも、プールの中で一緒に泳ぎながらリハビリ支援をされていました。

あらたなチームづくりのメンバーを発見し、ネットワークづくりができると感じました。

多くの患者さんの回復への支援ネットワークをぜひ作りたいです。

介護保険のサービスのかたにはまったサービス支援では、現状維持が目標になります。

重症のかたでもその人の持つ力を引き出せたら、それは看護の目的でもありますし、寄り添いの看護の神髄には「あきらめない」という精神が不可欠です。

創造するには、機会をとらえ行動することが必要です。

看護師は誰でも自分のかかわっている患者さんから学べるのに、高いお金をはらって研修を受講して、いったい何を学びたいのか、と思う時があります。