私は、あすか山の所長になって来年の7月で6年目に突入します。

2度目の所長の仕事は、とっても楽しく、1度目とまったく違うと感じています。

最近、ずっと考えていること、それは、このあすか山を去って行ったスタッフのことです。

妊娠、結婚、転居などもちろんありましたが、やはり、中には訪問看護がしんどいと辞めた人もいます。

その人一人ひとりの顔を思い出しながら、毎日過ごしています。

退職した人のことが気になります。

1度目の所長の時は辞める人のことをしかたない、と思い、日々の仕事に追われそんなこと、考える余裕がなかった。

そういうことがないように、ずっと訪問看護ができるようにと、入職した訪問看護の経験がないスタッフを一生懸命、教育プランをたてて、面接しながら、評価して、不足している部分を経験してもらうことに全力を傾けていました。

でも、今は違う感覚なのです。根本的に違うこと、それは、あすか山に来てくれたスタッフを本当に心の底から、愛おしく感じ、どんなに、ミスをしても、何が起こっても、そのスタッフを大好きという感情がまず先にくるのです。

時には、私も、スタッフに厳しいことを話すことがあります。が、感情は、揺らがないのです。

新人でも、看護師をずっと離職していた人でも、子育て中でも、親の介護をしている人でも、その人の何ができ何が得意なのか、そのスタッフにステーションが合わせればよいと思うのです。

そんなことでは、利用者さんは任せられない、でしょうか。

同行訪問を増やせばいいだけの話です。私がそのスタッフと話、必要な時間をかければいいだけの話です。

ステーションの形をスタッフに合わせて変えていく、これが管理者の役割だと思っています。

そのためには、スタッフの声を聞かなければできないし、今のスタッフの思いを知らなければできないと思います。

大学院に行き、この2年で、自分が少し変わったと実感した経験は、「人は変わっていく」という確信を持つことに自信をもてるようになり、よかったと思います。(以前ももっていましたが、強くなりました)

人は、変化する力を持っていると思います。私は、本当に、能力も若い人より低く、だから人より努力しなければならないと思って、日々頑張っています。一人の人間ができることは限られているのです。

管理者のまずしなければならないことは、自分のできることの限界を知り、自分がこのステーションを引っ張っているという幻想を捨てることです。

そして、自分もステーションもどんどん形を変えていける柔軟性を持つことです。

辞めていったスタッフが今も幸せでいてほしい、そして、私はどんな形であれば、その人は辞めなくてよかったか、と今日も考えています。