あけましておめでとうございます

新しい年を新たな気持ちで一歩前進です。

いつも私が心の中で思い返す言葉をここに記します。

 

クリスティーン・ブライデン著 「私はわたしになっていく」より

イギリスの病院で亡くなった高齢者の持ち物から出てきた詩です

 

「何が見えるの、看護師さん あなたには何がみえるの

あなたが私を見るとき、こう思っているのでしょう

気難しおばあさん、利口じゃないし、日常生活もおぼつかなく

目をうつろにさまよわせて  食べ物をぼろぼろこぼし、返事もしない

あなたが大声で「お願いだからやってみて」といっても あなたにしていることに気がつかないようで

いつもいつも靴下や靴をなくしてばかりいる

おもしろいのかおもしろくないのか  あなたの言いなりになっている

長い1日を埋めるためにおふろを使ったり食事をしたり

これがあなたが考えていること、あなたが見ていることではありませんか

でも目を開けてごらんなさい、看護師さん、あなたは私をみてはいないのですよ

私が誰なのか教えてあげましょう ここにじっと座っている私が  あなたの命ずるままに起き上がる私がだれなのか

私は十歳の子供でした。父がいて、母がいて 兄弟、姉妹がいて、皆お互いに愛し合っていました

十六歳の少女は足に羽根をつけて

もうすぐ恋人に会えることを夢見ていました

二十歳でもう花嫁。私の心は躍っていました

守ると約束した誓いを胸にきざんで 二十五歳で私は子供を産みました

その子は私に安全で幸福な家庭を求めたの

三十歳、子供はみるみる大きくなる

永遠に続くはずのきずなで母子は互いに結ばれて

四十歳、息子たちは成長し、行ってしまった

でも夫はそばにいて、私が悲しまないように見守ってくれました

五十歳、もう一度赤ん坊が膝の上で遊びました

私の愛する夫と私は再び子供に会ったのです

 

暗い日々が訪れました。夫が死んだのです

先のことを考えー不安で震えました

息子たちは皆自分の子供を育てている最中でしたから

それで私は、過ごしてきた年月と愛のことを考えました

今私はおばあさんになりました。自然の女神は残酷です

老人をまるでばかのように見せるのは、自然の女神の悪い冗談

体はぼろぼろ、優美さも気力も失せ

かつて心があったところにはいまでは石ころがあるだけ

でもこの古ぼけた肉体の残酷にはまだ少女が住んでいて

何度も何度も私の使い古しの心をふくらます

私は喜びを思い出し、苦しみを思い出す

そして人生をもう一度愛して生きなおす

年月はあまりにも短すぎ、あまりにも速くすぎてしまったと私は思うの

そして何物も永遠ではないという厳しい現実を受け入れるのです

だから目をあけてよ 看護師さん・・・・目を開けてみてください」

 

看護師だけではなく、医師も、すべての手をつなぐ人たちに目を開けてほしい。

人の尊厳をまもることは基本姿勢です。

今年も、未熟な自分を自覚しつつ、自分にできることはささやかですが、専門職としての誇りとして、自分の眼を開けた看護を実践していきたいと思います

                                               平原優美