訪問看護師は、みな病院での臨床経験を持っています。夜勤も行い、リーダーや、主任、あるいは師長として、病院の看護を学んできました。

そのうえで、訪問看護を行うと、看護を提供できる環境がまったく違うことを実感します。

訪問看護では、ゆっくり1時間程度1対1で納得したケアが提供でき、患者さんと信頼関係を持つことができます。

これまで、信頼関係のある患者さんが病院へ入院され、何人か「病院に来て自宅で受けていたリラクゼーションケア、マッサージ、アロマオイルをうけたい、話がしたい、気持ちを聞いてほしい」というお問い合わせがありました。

実際、保険上はもちろん認められていませんし、看護師の連携で連続した看護の提供をと考えていましたので、病院の看護師に気兼ねもあり退院前カンファレンスなどでなければ、そっと、面接にいって顔をみてお話をする程度でした。

 今回、ある患者さんのご家族から、問い合わせがありました。

深いかかわりをもち、1時間のリラクゼーションケアケアの最後は、患者さんは深い眠りにおち、そっといつも帰っていました。

その患者さんとご家族から、厳しい状況で予後が短い、つらくて、ぜひ、訪問看護のあのケアを受けたい、とおっしゃっていただいたのでした。

私も心の底から、その方にケアしたいと思いました。これまで、それを行わず後悔した患者さんは何人もおられたので、また、後悔したくないと思い、お伺いしました。

ベッドサイドにおいでになった主治医にも自己紹介し、検査結果などもお聞きし、マッサージをしていることを伝えました。

主治医は笑顔で、御苦労さまとおっしゃってくださいました。

でも、病棟看護師にはお伝えできなかったのです。

そして、その直後、ステーションに帰社してから、その病院のいつも連携している退院支援の看護師にそのことを報告しました。

その看護師は、とても素晴らしい人で、主治医にも確認してくださり、病棟看護師も理解しておおごとにならないような配慮をいただきました。ただ、病院にそれが伝わると、大きなことになるとお考えでした。そうだと思います。

結局残念なことに、急変して意識がもうろうとなられ訪問はなくなりました。

今回、このことをどう考えればいいのか、病院への訪問看護はどうなのか、整理できないでいます。

退院したらいいとも思いました、が、一人で過ごす自宅での生活への不安と家族の事情でそのタイミングが合わなかったようです。

そのような方はたくさんおられます。自宅へ帰りたいけれど、症状が良くなく、治療を行っているときに退院のタイミングが合わず、そのまま最後まで病院という方、訪問看護師は担当の患者さんのことはいつも頭にあり、今頃どうしておられるかな、と考えます。

 一方、医師は地域の往診医が病院の中に入り、病院の主治医と連携を取りながら、自分の診察、治療が行えているといったドキュメントを見たことがあります。

患者さんのうれしそうな顔を思いだします。

看護はどうでしょう。

病棟看護師は、そんなに訪問看護の看護を受けたかったら、退院すればいいのに、と患者さんに対して思うでしょうか。

私は、どうしたらよかったでしょうか。

悩むところです。