1.趣旨
 2000年4月からスタートした介護保険制度は6年目を迎え、高齢者の尊厳と自立支援の理念のもと、在宅介護を重視して訪問・通所系サービスが整備されてきました。

 しかし、難病やがん末期、重度の脳血管障害等介護ニーズと医療ニーズを併せ持つ在宅療養者・家族に対するサービスは訪問看護等の訪問系サービスが中心であり、家族の介護負担は重く、また利用者の通所ニーズを十分に満たすことはできませんでした。例えば、訪問看護利用者のうち、痰吸引、在宅中心静脈栄養、人工呼吸器、ターミナル期など医療処置を伴う利用者の9割が、現状の通所系サービスが利用できず、介護難民となっています。そのため、これらの在宅療養者が住み慣れた自宅で生活できるように、一層の支援が重要と思われます。
 このたび、平成15・16年度未来志向研究プロジェクト「介護事業所における小規模多機能事業(通所看護等)」のモデル事業及び、平成17年度介護保険サービスにおける看護提供体制のあり方に関する調査研究事業の成果等により、平成18年度介護報酬改定において、末期がんや難病等、医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ中重度者への通所サービスとして「療養通所介護」が創設されました。この「療養通所介護」を、こうした利用者のニーズに応える多機能事業所へのスタートラインとして受け止め、主体的・積極的により質の高い「療養通所介護」を普及・推進していくことが私たち看護職としての使命と考えております。
 療養通所介護サービスを健全に発展させるためには、実践者の熱意とともに、地域の保健医療福祉関係者や介護支援専門員などの理解と協力が不可欠であります。そこで、療養通所介護の実践者をはじめ、様々な立場からこれを推進しようとする者が関連情報を共有し相互の交流を図りつつ、療養通所介護の質向上をめざすために、ネットワークの構築が必要と考え、療養通所介護推進ネットワークを設立することとなりました。本ネットワークの機能として、当該サービスの充実・発展のための調査研究と課題解決のための提言、従事者の質向上と事業の健全な育成のための支援、管理者の教育・研修への協力と参画、情報収集と広報活動などの事業を行います。

2.事業内容
 1)療養通所介護制度と理念の周知及び普及を図るための広報活動
 2)サービスの充実・発展のための調査研究と課題解決への提言
 3)良質な療養通所介護事業の普及に向けた、質を確保するための支援
 4)療養通所介護事業の管理者教育・研修への協力および参画
 5)関連団体および協力団体との連携の推進