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理事長ご挨拶

1992年、老人保健法の改正により訪問看護制度が創設されたことを契機に、日本訪問看護財団は、1994年に日本看護協会の出捐を受け、財団法人日本訪問看護振興財団として設立されました。2012年には公益財団法人日本訪問看護財団の認定を受け、訪問看護の発展と質の向上を目指し、各事業に取り組んでまいりました。2024年11月には、設立30周年という大きな節目を迎えました。

 

わが国は、世界の中でも突出した速さで少子高齢化が進んでいます。これまで「団塊の世代」が後期高齢者となる2025年を一つの目標として、社会保障制度や医療提供体制の整備が進められてきました。現在はさらに、その子世代が高齢期を迎えるとともに、後期高齢者数が最大化し、生産年齢人口の大幅な減少が見込まれる2040年を見据えた社会のあり方が問われる時代に入っています。

 

こうした状況を背景に、当財団は「2040年に向けた訪問看護のビジョン~地域での暮らしを支えるために~」を日本看護協会および全国訪問看護事業協会と連携して策定いたしました。訪問看護は、人々が暮らす住まいや地域を基盤に、ゼロ歳の子どもから人生の最終段階を迎える方まで、あらゆる世代の思いや願いに寄り添い、尊厳を大切にしながら、生命と生活を一体的に支える役割を担っています。医療ニーズが高度化・複雑化する中においても、生活の視点を大切にし、多職種と連携しながら継続的に支援する訪問看護の重要性は、今後さらに高まっていくと考えています。

 

当財団は、このビジョンの実現に向けて、訪問看護師の質の向上を支える教育研修の充実をはじめ、訪問看護ステーションの開設や運営に関する支援、調査研究とそれに基づく政策提言、SNSも活用した広報活動などを通じて、訪問看護が地域で着実に機能し続けるための基盤づくりに取り組んでまいります。また、訪問看護のデジタルトランスフォーメーションを進める中で、新たな時代に即した支援のあり方についても検討を重ねてまいります。

 

日本訪問看護財団は、超少子高齢・多死社会においても、人々が住み慣れた地域で自分らしく生ききる社会の実現を目指し、訪問看護の発展と推進に力を尽くしてまいります。今後とも、皆様の変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

公益財団法人日本訪問看護財団
理事長 田村やよひ