療養通所介護は、令和3年度介護報酬改定で、報酬体系の簡素化の観点から、従来の出来高制が月額包括報酬に大きく改定されました。
日本訪問看護財団では、療養通所介護制度創設時からかかわり、毎年本財団事業計画の「療養通所介護推進事業」にて、研修会や交流会を開催してきました。
このたびの報酬改定につきましても、電話やメール相談を多くいただき、急遽、報酬改定に関する説明・交流会を開催しました。本財団でも、新しい報酬体系に戸惑うことが多い中での開催となりましたが、ご参加くださいました事業所の皆様ありがとうございました。また現場の状況やご質問をたくさんいただきありがとうございました。
本財団の回答が不十分だったこともありましたので、急ぎ下記のとおり、ご意見や質疑応答を報告します。メールでいただいた内容も追加していますのでご確認をお願いいたします。

【参加者のご意見】

(月額包括報酬(利用回数が多い利用者・少ない利用者)への対応等)
●月20回以上の利用者が一人いるが、経営的に成り立たないことから、児童発達支援事業等を併設しているので、月8回までは療養通所介護の報酬を算定し、残りは児童発達支援事業等(生活介護)で算定できるように○○市が認めていただいた。

●週1回と週2回の利用者がいるが、週1回の利用者はがんなど重症で週1回利用が精いっぱいである。包括報酬では週1回の利用者の負担が大きくなる。回数は増やせないしどう説明していいか混乱している。

●週1回、2回、3回の利用者がいる。週1回の利用者は2回に増やしたいとの申し出を受け入れた。また、利用回数の調整をしたが他のサービスに移った利用者もいる。

●利用者には週3回が多い。負担が減ったと喜ばれている。週3回利用しないと、家庭での介護が続かないのでそのまま頑張っている。

●療養通所介護は緊急の場合でも受け入れが容易でレスパイトケアなど柔軟な対応ができる。一方、看多機は大変である。緊急受け入れについての柔軟な対応と評価を検討していただきたい。

●ICT活用による送迎時の健康観察が可能となり、看護職員配置が少なくてよくなった。しかし収入と費用を考えると、事業としての採算が合わない。地域には療養通所介護を必要とする利用者が沢山いるので大事なサービスである。地域での本サービスの周知とともに、厚生労働省に働きかけて、日本訪問看護財団でも採算性のある事業として日の目を見るように支援していただきたい。

【質疑応答】

1. 送迎について
Q1 送迎では複数の利用者を送迎することは可能か?
A   今回の改定では触れられていないので、従来通り。

Q2 ICT活用による送迎は本人・家族の同意を得ることになっているが方法はどうするか?
A  主治医や看護師がICT活用でも支障がないと判断しており、文書でなくても口頭の同意でよく、療養通所介護記録に同意を得たことを記載する。

2. 月額包括報酬について
Q1 月の途中で入院した場合に日割り算定方法となるか?
A    入院と同時に契約終了になる/ならないで算定方法が異なります。入院と同時に契約を終了する場合は日割り計算となります。日割り計算は、月の初日から契約終了日までです。 短期間の入院で契約を終了しない場合は包括報酬となります。

例1)  4/4利用、4/10入院(契約終了しない場合)→包括報酬とする。
例2)4/4利用、4/10入院(入院と共に契約終了の場合)→4月1日から10日までの日割り計算とする。
※入院期間が長期になるか未定のため契約終了していない場合→利用のない月は請求しない。

【参考】療養通所介護費の算定について
療養通所介護費は、当該療養通所介護事業所へ登録した者について、登録している期間1月について  所定単位数を算定する。月途中から登録した場合又は月途中から登録を終了した場合には、登録していた期間(登録日から当該月の末日まで又は当該月の初日から登録終了日まで)に対応した単位数を算定することとする。これらの算定の基礎となる「登録日」とは、利用者が療養通所介護事業者と利用契約を結んだ日ではなく、サービスを実際に利用開始した日とする。また、「登録終了日」とは、利用者が療養通所介護事業所との間の利用契約を終了した日とする。(通知より抜粋)

Q2 月1回のみの利用者であっても、月額包括報酬か?
A  そのとおり。

Q3   がん末期の利用者が4月14日に利用最終回(利用契約終了)で、17日に入院し18日に死亡した場合は、包括報酬が算定できるか?
A   入院の前に登録終了日(利用契約を終了した日)となるので、月の初日から終了日までの日割計算となる。

Q4 看取りが予測される利用者が利用を開始して3日後に死亡した場合、報酬算定は、日割り計算か包括報酬か?
A  入院の場合は包括報酬となるが、当該利用者は開始日から死亡終了(利用契約終了)までの日割り計算となる。

Q5 月の途中で短期入所生活介護を利用した場合は包括報酬を算定できるか?
A  日割り計算となります(2022年9月12日修正)。詳細は「療養通所Q&A(2)ショートステイや宿泊利用の算定」をご覧ください。

Q6 4月30日の利用開始で、5月3日と5日に利用予定でその後入院する場合の報酬はどうなるか?
A  4月分は日割りにより、加減算がない場合は、417単位/日を算定する。 入院による契約終了とならない場合、5月分は包括報酬を算定する。

3. 日割り計算をする場合について
Q1 月の途中から開始した場合の日割り計算の計算日数はどうなるか?
A   契約期間が1月に満たないので、日割り計算となるが、登録日(実際の利用開始日)から当該月の末日までの日数に対応した単位数を算定する。

Q2 月の途中で登録を終了した場合の日割り計算の計算日数はどうなるか?
A  契約期間が1月に満たないので、日割り計算となるが、当該月の初日から登録終了日(利用契約を終了した日)までの日数に対応した単位数を算定する。

4. 療養通所介護の利用時間の規定について
Q 従来3時間以上で算定していたが、長時間利用することが困難な、認知症、重症者の場合に3時間以下での短時間利用は可能か?
A 時間を規定していない。利用者の状態によって短時間もありうる。

5. サービス提供過少である場合の減算(新設)について
Q1  サービス提供が過少とは、平均回数が月5回に満たない場合に70/100とされるがどのような計算になるか?
A   例えば、7人の利用者で、週1回が3人(月の回数:4回×3人=12回)、週2回が4人(月の回数:8回×4人=32回)の場合、合計44回を7人で除すと、6.3回となり、減算にはならない。また、月4回の利用者であっても包括報酬のため利用者すべてが同単位となる。

Q2 7人の利用者の内、週2回の利用者の1人が月の途中で入院した場合の計算はどうなるか?
A  当該利用者を利用者1人当たりの平均回数には含めない。はずして計算するので、3人(月の回数:4回×3人=12回)、週2回が3人(月の回数:8回×3人=24回)となり、合計36回を6人で除すと、6回で、減算にはならない。

6. 入浴介助減算について(新設)
Q  入浴介助減算は、全利用者に係るか?
A  入浴できる施設・設備がない場合は、すべてに係る。しかし、設備等がある場合には、利用者の計画に入浴介助が位置付けられているにもかかわらず、利用者の事情で入浴介助を1度も実施しなかった場合は減算となる。ただし利用者の心身の状況や希望により、清拭又は部分浴を実施した場合は減算にはならない。

7.その他
Q1 BCP作成や災害訓練において、地域や行政との連携、ネットワークをされている事業所があれば連携の仕方を教えてほしい。
A   災害時等を考えると行政との連携が必要で、東日本大震災の時、人工呼吸器使用者が避難所なった体育館には行けず、療養通所介護事業所が受け入れて24時間対応を行い、のちに福祉避難所と位置付けられたことがある。また、地域では消防署と連携し訓練を定期的に行っているところもある。地域包括支援センター等への本事業の活動紹介、療養通所介護利用者のサービス関係者が事例検討会を合同で行うことなど、働きかけてはどうか。

Q2  児童発達支援事業所の医療的ケアの判定スコアを医師に記載していただく方法はどうなるか?
A  18歳未満の医療的ケア児の保護者が主治医に依頼、判定したスコアを市町に提出する。