ケアプラン作成のための課題領域
ケアプランの作成はまず,「課題・ニーズ領域選定表」により利用者に必要な「課題・ニーズ領域」を選定することからスタートします。長期ケアが必要な利用者の課題・ニーズ領域は、表に示す「30の課題・ニーズ領域」、施設対象者は「27の課題・ニーズ領域」でケアプランを考えます。
この30(27)の課題領域は、要介護者に生じやすい課題ニーズを、財団独自の調査研究の成果から我が国の高齢者の特徴を取り入れ、特に重要と判断された課題・ニーズを領域化して選定したものです。
1. | コミュニケーション・聴覚障害に関わる検討 | |
2. | 視覚障害に関わる検討 | |
3. | せん妄状態に関わる検討 | |
4. | 認知症に関わる検討 | |
5. | ADL・IADLの低下・リハビリテーションに関わる検討 | |
6. | 転倒の危険性に関わる検討 | |
7. | 在宅 | 日常生活用具・居住環境に関わる検討 |
8. | 孤立・生活意欲低下に関わる検討(生活の活性化) | |
9. | 気分の落ち込み・憂うつ・情緒不安定に関わる検討 | |
10. | 行動障害・周辺症状に関わる検討 | |
11. | 役割遂行に関わる検討 | |
12. | 対人関係に関わる検討(望ましい人間関係) | |
13. | 食事・栄養状態に関わる検討 | |
14. | 脱水状態・水分補給に関わる検討 | |
15. | 歯・口腔ケアに関わる検討 | |
16. | 排泄ケア・コントロールに関わる検討 | |
17. | 課題の兆候・病状の安定性に関わる検討 | |
18. | 健康管理・セルフケアに関わる検討 | |
19. | 睡眠に関わる検討 | |
20. | 皮膚・清潔のケアに関わる検討 | |
21. | 痛みのコントロールに関わる検討 | |
22. | 虐待予防に関わる検討 | |
23. | 薬の管理・服薬に関わる検討 | |
24. | 呼吸・心臓機能の変調に関わる検討 | |
25. | 感染・発熱の兆候に関わる検討 | |
26. | 医療的処置や器材に関わる検討 | |
27. | 在宅 | 家族介護力・家族機能に関わる検討 |
28. | 在宅 | 家事に関わる検討 |
29. | 経済・制度利用の選択や変更・拡大に関わる検討 | |
30. | ターミナル期に関わる検討 |
※施設内ケアプランの場合は、在宅の領域を使いません。施設で使用する際は27領域で検討されます。ただし在宅に向けてのケアプラン作成(退院、退所時)の場合は在宅の場合と同じく、30領域全てを検討します。
※ それぞれのニーズ領域の選定根拠、検討の指針について、書籍「日本版 在宅ケアにおけるアセスメントとケアプラン」で詳しく説明してあります。ぜひご熟読ください。
Ⅱ.生活療養情報「L-1-①認知症の状態」の項目
柄澤式判定基準は、本人が質問に答えられなくても、家族が把握している日ごろの情報に基づいて、妥当な評価を得ることができますが、情報提供が適当かを判断する必要があります。そのため、家族などの面接に際しては、本人の一日(朝起きて寝るまで)を具体的に聴く方法があります。認知症と区別すべきものとして、正常な老化現象(うっかりミスなど)、廃用性の知的機能衰退、知的障害、意識障害など認知症の様な状態です。(「日本臨床」61巻増刊号9 185頁~186頁を参照)判定に関する留意点は次の4点です。
- 能力低下は衰えているほうのレベルで判断します。
- 日常生活能力は、ほぼ自立していても具体的事例に該当するところがあれば異常とみなします。
- 日常会話・意思疎通は、失語症や難聴を除外します。
- 具体的例示にあることがらは、ある程度の頻度で持続してあらわれる場合にそのレベルと判定します。
評価レベル1.2.3.4.を問題領域として判定結果にその番号を記入します。
L.認知症の状態
1-①認知症の状態
判定(評価レベル) | 日常生活能力 | 日常会話・意思疎通 | 具体的例示 | ||||||
0 | 正常 | ( - ) | 社会的、家庭的に自立 | 普通 | 活発な知的活動持続 | ||||
( ± ) | 同上 | 同上 | 通常の社会生活と家庭内活動可能 | ||||||
1 | 異常衰退 | 軽度(+1) |
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ほぼ普通 |
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2 | 中等度(+2) |
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簡単な日常会話はどうやら可能 |
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3 | 高度(+3) |
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4 | 最高度(+4) | 同上 | 同上 |
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判定結果 |
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※柄澤式「老人知能の臨床的判定基準」による 出典 : 「老人期痴呆」第10巻、87頁~89頁、1996年