公益財団法人 日本訪問看護財団は、急速に進む少子高齢化で需要が急増している訪問看護師の養成をスムーズに行うために、地域包括ケアシステムにおける多様な訪問・在宅看護の現状に即した新たな教育カリキュラム「訪問看護人材養成基礎カリキュラム」を作成しました。
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訪問看護人材の養成は急務

戦後ベビーブーム世代が後期高齢者となる2025年以降に向けて、誰もが住み慣れた地域で生活できるように地域包括ケアシステムの構築が進められており、訪問看護はその中で重要な役割を担っています。訪問看護師は、医療も介護も必要な在宅療養者に、医療も介護も一体的に提供できる職種だからです。

訪問看護を学ぶための研修

訪問看護を学ぶ研修としては、日本看護協会の「訪問看護入門プログラム」、都道府県ナースセンターや都道府県看護協会の「訪問看護師養成講習会」、日本訪問看護財団の「訪問看護eラーニング」があります。また、より専門性の高い訪問看護師である訪問看護認定看護師や在宅看護専門看護師を養成する教育課程も開講されており、更には特定行為に係る看護師研修制度も訪問看護師の受講が期待されています。

訪問看護研修の実状と課題

上記の研修のうち、最もポピュラーな研修である「訪問看護師養成講習会」や「訪問看護eラーニング」は、日本看護協会の「新たな訪問看護研修カリキュラムステップ1」や厚生省が示した「訪問看護婦養成講習会事業カリキュラム」に準拠して開催されています。

しかし、それらのカリキュラムは10数年前に作成されており、現在の訪問看護のニーズに合致しない部分があること、受講要件に看護実務経験を要すること等、見直しの必要性が生じました。急速に進む少子高齢化への対応、在院期間の短縮化による医療依存度の高い患者の在宅移行支援、がんや認知症、多死時代の到来による在宅看取りの増加等、重症度の高い在宅療養者を24時間体制で支援する訪問看護がますます求められています。また、地域包括ケアシステムにおける在宅看護のあり方、リスクマネジメントや災害対応、家族形態の変化への対応や多職種との連携など、これからの訪問看護に欠かせない内容の充実強化が必要となりました。

新たな訪問看護の研修カリキュラムについて

そこで、日本訪問看護財団では日本看護協会並びに全国訪問看護事業協会、研修開催者や学識経験者等で構成した検討委員会を設置し、厚生労働省看護技官をオブザーバーとして、「訪問看護人材養成基礎カリキュラム」を作成しました。

<主な改訂点>

(1)「訪問看護人材養成基礎カリキュラム」は、従来の「新たな訪問看護研修カリキュラムステップ1」の内容を踏襲しつつ、社会背景を反映してバージョンアップ。訪問看護の倫理やリスクマネジメント、災害対応、がん看護等不足していた内容を新たに追加し、科目名が現状に合致していないものについては修正を加えました。

(2) 科目構成は、より優先度の高い科目、項目から学習するよう学習順序を変更しました。

(3)医療機関等で看護の実務経験があっても、訪問看護カリキュラムの全ての科目を学ぶことにしました。ただし、長期間の研修となるため、少しでも負担を軽くする意味で、訪問看護経験者は実習時間を短縮できるようにしています。

(4)受講対象者は、これから訪問看護を始めようとする者及び訪問看護に従事して間もない新任訪問看護師で、看護の実務経験は問わず、新卒看護師でも受講可能になりました。

(5)看護職員が受講対象としていますが、研修開催者の判断により、講義・演習については看護職員でなくても受講可能となりました。

今回作成した「訪問看護人材養成基礎カリキュラム」が全国で訪問看護師の養成に活用され、訪問看護の質の向上及び、訪問看護師の就労支援に活かされることを願っています。

 

■このカリキュラムの内容は日本訪問看護財団ホームページ【研究・開発事業】(平成28年度「訪問看護人材育成教育カリキュラムに関する検討委員会」報告書)からダウンロードできます。(http://www.jvnf.or.jp/kenkyukaihatu.html

■日本訪問看護財団「訪問看護eラーニング」については日本訪問看護財団ホームページ【訪問看護eラーニング】(https://jvnf.or.jp/e-learning/)をご参照ください。